
眼はこの中のいずれか1色だけからなる強い光を見ていると、色覚を感知する視細胞の中の、ある特定の視物質だけが不均等に強く刺激されることになり、その結果として眼が早く疲労する。また、縁部を除いて青、赤の2部だけから構成される光は紫または赤紫の色を呈するが、このような色を見ていると水晶体が持っている色収差(光の色によって像のできる位置が異なることをいう)がはっきり現れて、発光点の赤の像と青の像とが互いにずれて2重の像となって見える。結局、色としては鮮やかな青、緑、赤および紫の色は好ましくない。つまり、スペクトルの可視領域内に広く分布する透過光を持つようなサングラスが好ましく、その透過色としては無彩または黄赤、黄、黄緑、緑、青緑などの系統のものがよいことになる。

図1.2 サングラス・レンズの分光透過率
図1.2はグリーンの色相を持つ厚さ2mmのサングラス・レンズの分光透過率を示した一例である。これからみると、海上で使用するサングラスとしては紫外線および赤外線を適当に吸収し、かつ、可視領域内の透過率の良好なSG.0,SG.9のようなものが好ましい。
ともあれ、サングラスの本来の目的は紫外線や赤外線の害から眼を守ることにあるが、人によってはファッション性だけにとらわれて暗い雨の日でも夜でもサングラスをかけている。しかし、これは好ましいことではない。日常の生活で常時サングラスをかけていると紫外線に対して眼が弱くなり、サングラスがなければ生活ができなくなってしまうからである。
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